NFTのカスタムストアを作るサンフランシスコのBitskiは2021年5月6日、Andreessen Horowitz(アンドリーセン・ホロウィッツ)が主導するシリーズAラウンドで1900万ドル(約21億円)を調達したことを明らかにした。
Bitskiとは、ブランドやクリエイターのためにNFTのカスタムストアを提供するNFTマーケットプレイスだ。Adidas(アディダス)と提携を組んでいることでも知られる。
Bitskiの特徴は、ブロックチェーンの複雑さを排除し、有名ブランドやアーティストがより参入しやすい環境を構築している点であろう。その代表例が、MetaMaskウォレットを必要としないことだ。
多くのNFTマーケットプレイスの取引では、MetaMaskが必須である。しかし、仮想通貨の取引を行ったことがない人にとって、ウォレットの導入はハードルが高い。MetaMaskが不要となれば、ブロックチェーンに馴染みのない人でも手軽にプラットフォームを利用できる。
Bitskiはどちらかといえば個人よりも法人をターゲットとしている。カスタムストアには「月額69ドル」「月額199ドル」「月額1499ドル」の3つのプランがあり、価格帯はやや高めに設定されている。
Bitskiは今回調達した資金を用いて、「クリエイターやブランド、企業にとってNFTエコノミーをより手の届きやすいものにする」というミッションをさらに推進すると述べている。
シリーズAで資金調達を受けたということは、投資家やセレブたちがそれだけNFTに価値を感じているということだ。
BitskiはNFTマーケットプレイスの暗号技術にともなう複雑性を、なるべくシンプルなものにして提供することに重きを置いている。
今後NFTの世界を今よりもさらに身近なものにすること、初期から手を組むアディダスなどのブランドのNFT業界参入をサポートすることがBitskiの狙いだ。
暗号技術やブロックチェーンについて深く理解せずとも、デジタルコンテンツを楽しめるような世界を構築することが彼らの狙いだ。
MetaMaskウォレットを必要としない設計にするなど、Bitskiは「何がユーザーの参入障壁となっているのか?」という親しみやすさ・ユーザビリティにフォーカスしている。
他にもパスワード不要の機能や、Bitskiのサーバーがホストするウォレットを提供するなどの仕組みもある。これらのサービスもユーザビリティ向上を目的に導入したのであろう。
投資家やセレブたちが「NFTをより親しみやすいものに」というコンセプトを持つBitskiに出資した背景には、NFT業界全体の門戸を広げたいという世界的な流れがあると予測される。
NFTは海外の方が速く発展しているため、そのうち日本にもNFTの波が来るかもしれない。そうなると今後さらに、国内のNFTマーケットプレイスが増加する可能性がある。NFT業界の動きはめまぐるしい。今のうちから国内の動きにも注意を払うべきであろう。
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