ニューヨークタイムズが、自社の記事をNFTとしてオークションに出品したことが明らかになった。記事は2021年3月26日、約56万ドル(約6097万円)という価格で落札された。
記事のタイトルは「Buy this column on blockchain!(このコラムをブロックチェーンで買おう!)」というものだ。記事はテックコラムニストのKevin Roose(ケビン・ルース)が執筆した。
The New York Times turned an article about NFTs into an NFT and sold it at auction for about $560,000 https://t.co/QusHoHd47M
— Bloomberg (@business) March 25, 2021
この記事は25日にFoundationというプラットフォームに出品され、24時間後に350ETHで落札された。Foundationでは、おもにアーティストや投資家などがデジタルコンテンツをNFT化して出品ている。同プラットフォーム上での取引は、ブロックチェーン技術に支えられており、コンテンツの改ざんやコピーを防ぐ仕組みが備わっている。
オークションの最後の30分間は特に盛り上がりを見せた。5万ドル弱だった価格が最終的には56万2891ドルにまで跳ね上がり、入札合戦が繰り広げられた。この入札合戦ではFacebookでリサーチサイエンティストを務めたJ・オーヤン氏とドバイの制作会社@3FMusicというユーザーネームの人物が競い合い、最終的に@3FMusicが落札した。
落札者はPNG形式の記事データの所有権を得たほか、後日執筆予定の同オークションに関する記事にその名が掲載される。加えて、ポッドキャスト番組「The Daily」の司会者であるMicheal Barbaroから祝福のボイスメモが授与されるとのことだ。
歴史ある世界的な報道機関の記事がNFTとして高額で落札されたことは、NFTの更なる発展を感じさせるポジティブな出来事である。投資対象としてNFTの動向を見守る人々にとっても、今回の一件は目が離せない。
コラムの執筆者であるルース氏にとっても、今回の件でのメリットは大きいと考えられる。ニューヨークタイムズの金融エディターであるランディ・ぺネル氏は、「自身の記事が高額な価格で落札されたことにより、今後の原稿料を引き上げる要因になる」と話している。
今回の出品で得た利益は、ニューヨークタイムズの「Neediest Cases Fund」に寄付されるとのことだ。このファンドは110年もの歴史を持ち、これまでに3億ドル以上を慈善団体に寄付してきた。
ルース氏はその後の記事で、このコラムが約170年という歴史を持つニューヨークタイムズの中で始めてNFT化されたものだと述べ、「落札者は歴史の一部を所有することになった」と書いている。
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