テザー(USDT)は、価格が米ドルと連動している世界初のステーブルコインである。ビットコインやイーサリアムのように価格変動が大きい暗号資産市場では、「ステーブルコインのように価格の推移が安定しているコインに投資をしたい」と考えている人も多いのではないだろうか。そこで今回は、テザー(USDT)の特徴や価格推移、今後の見通しについて解説していく。
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仮想通貨テザー(USDT)とは
テザー(USDT)は、テザー社が発行する「ペッグ通貨」である。
ペッグ通貨とは、法定通貨に連動するように作られたコインのことを指す。テザー(USDT)は米ドルに連動する仕組みとなっている。テザー社は同じ量の米ドルを保有することで、テザー(USDT)の価格動向の安定を図っており、これによりペッグ通貨としての機能を果たしている。
仮想通貨テザー(USDT)の概要
以下の表に、テザー(USDT)の概要をまとめている。
通貨 | テザー |
ティッカー | USDT |
価格 | 127円 |
時価総額 | ¥9,220,088,223,468 |
公式サイト | https://tether.to/en/ |
時価総額は、2022年5月29日現在で3位となっており、ステーブルコインのなかでは世界最大である。
スイスのルガーノ市とパートナーシップ提携
2022年3月、テザー(USDT)はスイスのルガーノ市とパートナーシップの提携を結んだことを発表した。テザー(USDT)の発表によると、ルガーノ市はヨーロッパのブロックチェーン中心地になることを目指しており、仮想通貨での支払いやスタートアップ企業の資金調達支援などにも積極的な姿勢を見せている。
また、将来的には、市民がテザー(USDT)やビットコイン、LVGAによって納税や公共料金の支払いが行えるようになる見通しだ。
ルガーノ市は観光地としても有名な地域であり、街のレストランや土産店などでも仮想通貨での支払いが定着すれば、いずれテザー(USDT)が法定通貨となることもあるかもしれない。
仮想通貨テザー(USDT)の特徴とは
テザー(USDT)には、以下の3点の特徴が挙げられる。
- 多くの取引所が基準通貨に採用している
- 価格の推移が安定している
- 「カウンターパーティー・リスク」が高いト
以下の項目にて、それぞれ詳しく解説していこう。
多くの取引所が基準通貨に採用している
テザー(USDT)は、価格変動の幅が小さい特徴から、多くの取引所で基準通貨として採用されている。通貨ペアとなっている銘柄数も多いため、マイナーコインを購入する際に便利な通貨である。
また、ビットコインやイーサリアムを利益確定する際に、「いったんテザー(USDT)に変えておく」といった方法を取る投資家も多く、幅広い活用が可能だ。
価格の推移が安定している
テザー(USDT)は、米ドルに連動するステーブルコインであるため、価格の推移が安定していることが大きな特徴だ。
ビットコインなど他の仮想通貨銘柄では価格変動の幅が大きく、1日の中で10%以上の変動を見せることも珍しくない。その価格変動の大きさから、仮想通貨市場への投資をためらう人も多いだろう。
その点、テザー(USDT)は法定通貨に裏付けされていることから、安定志向の投資家にも人気の銘柄となっている。ビットコイン、イーサリアムに続いて時価総額3位となっているのには、そうした価格の安定性が評価されている点が大きいといえる。
「カウンターパーティー・リスク」が高い
テザー(USDT)は、価格推移が安定していることが大きな魅力である一方で、「カウンターパーティー・リスク」が高いことが懸念されている。カウンターパーティー・リスクとは、信用リスクの一種で、取引の相手方が破綻するなどで契約が履行されなかった際に被る損失のことを指している。
テザー(USDT)の価格の安定性は、「テザー社が同じ量の米ドルを保有している」ということが裏付けとなっている。しかし、万が一テザー社の不正行為などが発覚すると、たちまちその信頼性は崩れてしまうこととなるのだ。
実際に、過去には「テザー社が既発行分のテザーと同量の米ドルを保有していないのでは?」といった「テザー疑惑」が取り沙汰されたこともあった。その後、2021年からはテザー社が保有資産の公表を行っているため、こうした疑惑は解消されている。
しかし、価格の担保をテザー社に委ねている以上、テザー社の保有資産の内訳については、引き続き気にしておく必要があるだろう。
仮想通貨テザー(USDT)の価格推移
以下の画像は、2022年3月〜5月にかけてのテザー(USDT)/米ドル(USD)の価格チャートである。
テザー(USDT)の価格はおよそ1ドルに価格が保たれているが、5月上旬に起きたルナショックはテザー(USDT)の価格動向にも大きな影響があった。その後5月中旬には価格も反発し、現在は再び1ドル近辺で推移している。
では、テザー(USDT)/日本円(JPY)の値動きはどうだろうか。以下のチャートは、2022年3月〜5月の価格推移を示したものである。
テザー(USDT)の価格推移を円建てで見ると、米ドルとは全く違う動きとなることが分かる。これは米ドル(USD)/日本円(JPY)の為替変動の影響を受けているためだ。2022年3月以降、米ドル/日本円は急激な円安進行となったことから、テザー/日本円についても価格が上昇する要因となっている。
当然、為替が円高へ推移すれば、価格が下落する要因ともなる。テザー(USDT)へ投資する際は、こうした為替相場の影響を受けることも理解しておく必要があるだろう。
仮想通貨テザー(USDT)は今後どうなるのか
ステーブルコインとして、世界最大の時価総額を持つテザー(USDT)は、今後どのような見通しがあるのだろうか。テザー(USDT)の今後を占ううえで、以下の3点が大きな要因となる。
- テザー社の担保資産には引き続き注視が必要
- 大きな値上がり益は期待できない
- 新興国での定着
以下で詳しく見ていこう。
テザー社の担保資産には引き続き注視が必要
記事内でも繰り返し解説している通り、テザー(USDT)の信用性の裏付けは、テザー社が保有している米ドル資産である。過去に起きた「テザー疑惑」のようなものが今後再び問題視されると、価格の下落要因になることは間違いないだろう。
ただし、テザー社は2021年以降、担保資産の報告書を四半期ごとに公開している。報告書では保有資産の内訳なども公開されているため、テザー(USDT)へ投資する際は、あわせて確認しておきたい資料である。
大きな値上がり益は期待できない
テザー(USDT)は価格が1ドルになるよう作られている通貨であるため、急激な値上がり益は期待できない。日本円から直接テザー(USDT)の買付ができれば、為替差益によって利益を狙うこともできるが、2022年5月現在では、国内の取引所で日本円でテザー(USDT)を購入できるところはない。
そのため、テザー(USDT)単体で運用益を得るというよりは、これまで同様に分散投資先や基軸通貨としての役割を担っていくことが期待される。
新興国での定着
テザー(USDT)の裏付け資産である米ドルは、世界の基軸通貨である。今後も米ドルの需要は揺るぎないものであると考えられるが、新興国のなかには経済的格差から米ドルへアクセスできない人々も大勢いる。場合によっては、銀行口座さえ持てない人もいるほどである。
その点、テザー(USDT)のような仮想通貨は、インターネット環境さえあれば、誰でも入手可能な資産だ。新興国のように自国通貨が安定しない経済情勢では、国民の資産の逃避先としてテザー(USDT)を選択することも十分あり得るだろう。
仮想通貨テザー(USDT)の購入方法
テザー(USDT)は、米ドルが裏付け資産であることから、米国の取引所を中心に基軸通貨として採用されている。しかし、残念ながら日本国内の取引所ではまだテザー(USDT)の取り扱いがない。
日本国内からテザー(USDT)を購入する場合は、まず国内の取引所にてビットコインなどの仮想通貨を購入し、テザー(USDT)を取り扱っている海外取引所へ送金する必要がある。
日本国内の取引所では、Coincheck(コインチェック)の利用がおすすめだ。口座開設はスマホ1つで行えるうえ、手続き完了も最短1日で済む手軽さもある。「手間をかけずにテザー(USDT)を購入したい」という人は、Coincheck(コインチェック)の口座を開設してみてはいかがだろうか。
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仮想通貨テザー(USDT)の需要は今後も拡大してく_
テザー(USDT)は、米ドルに価格が連動する仕組みのステーブルコインである。その価格の安定性から、多くの取引所で基軸通貨として利用されており、利益確定の際の預け替え先として活用されることもある。
テザー(USDT)は、そもそも大きく価格が上昇するようなコインではないが、その特性から今後は法定通貨として採用されることや、新興国で広く浸透する期待が持てる。