2021年11月9日、デジタルアーティストのBeeple(ビープル)氏の最新作「HUMAN ONE(ヒューマンワン)」が2,900万ドル(約32億円)で落札されたことが分かった。NFTの販売は、Christies(クリスティーズ)にてオークション形式で行われた。
ビープル氏といえば2021年3月、自身の作品「EVERYDAYS:THE FIRST 5,000 DAYS」が同プラットフォームにて6,950万ドル(約78億円)で落札されたことでも話題になった。これはデジタルアート史上最高額での落札であり、NFT業界が賑わうきっかけとなった出来事である。
今回の「HUMAN ONE」は、史上2番目に高額で落札されたNFTとなった。つまり、NFTの落札額ランキングは、ビープル氏が歴代1位と2位を独占していることになる。
ちなみに、今回の作品の落札者は、スイスのベンチャーキャピタル「Dialectic AG(ダイアレクティックAG)」の設立者兼マネージングディレクターのRyan Zurrer(ライアン・ズラー)氏であった。
NFTとは
NFTとは通称「非代替性トークン」とも呼ばれる、交換不可能なデジタル資産の一種だ。NFTひとつひとつには固有のIDが割り振られており、取引履歴や所有者などの情報が記録されている。そのため、ひとつとして同じNFTは存在しない。
NFTを活用すれば、所有権が不明瞭になりがちなデジタルデータの所有権を明確にすることが可能だ。つまりビープル氏の作品のNFTを購入することで、「作品の正式な所有者」となることができる。現物作品が手元になくとも「この作品は自分が所有している」という証明になるため、最近ではNFTの価値が広く認知されているのだ。
NFTは改ざん不可能な性質を持っており、真贋判別に使用されるケースも多い。偽物品が多く出回るハイブランドでは、このNFTの性質を活用する動きがよく見受けられる。
NFTはデジタル業界で幅広く利用できる汎用性の高さが魅力だ。アート作品や真贋判別の他にも、音楽やスポーツ、ファッション、ゲームなどの分野で積極的に活用されている。
中には「NFTは現物作品ではないにもかかわらず、なぜこれほど高額で取引されるのか分からない」と感じる人もいるかもしれない。しかしデジタル化が急速に普及している現代では、データの価値や所有権を証明するのが難しいという問題がある。このような状況下で「所有権を確実に自分のものにできる」ということは、想像以上に貴重なことである。好きなアーティストの作品やグッズ、会員権などをデジタルで保有しながら所有権も持てることに価値が見出されているのは事実である。
現在日本でもようやくNFTの知名度が上がり、流行の波が押し寄せている。NFTには投機的な一面もあるものの、NFTの印鑑や航空券が販売されるなど、実用的な事例も多く、技術面においても利便性が高い。
そのため、今後もNFTを活用したサービスが数多く展開されていくと考えられるだろう。
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