2021年もあと3か月となる10月現在、NFTプラットフォームに使用されるトークン価格が総じて上昇、世界的なNFTマーケットプレイスの一つのOpenSeaと双璧をなすプラットホームがRaribleのガバナンストークン、RARIも月初から30%以上の上昇を見せている。
RaribleはNFTマーケットプレイスであると同時に、ガバナンストークンを使用したDAO(分散型自立組織)の最先端モデルと言えよう。
運営チーム自体がすでに分散型の組織形成を採用し多くの職種でリモートワークが採用されている。
将来的に運営チームのビジョンとしては、ガバナンストークンを軸にユーザーがNFTマーケットプレイスの意思決定をしていくというものだ。
そこで今回は、世界的なNFTマーケットプレイスのRaribleそのものとガバナンストークンを使用したDAOの将来について解説したい。
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【特集/第2回】2021年後半に注目すべきNFTプロジェクト「Adam byGMO」を証券アナリスト目線で解説する
中島 翔
学生時代にFX、先物、オプションを経験し、FXをメインに4年間投資に没頭。あおぞら銀行でMBS投資業務に従事。三菱UFJモルガンスタンレー証券へ転職し、外国為替のスポット、フォワード、オプショントレーダー、Coincheckでの仮想通貨トレーディングとトレーダーを経験し、その後NYブロックチェーン関連のVCに所属しCWC株式会社を設立。
【保有資格】証券アナリスト
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Raribleとは?
Raribleの誕生は比較的新しく、2019年の11月にロシアの首都モスクワでAlex Salnikov(アレックス・サルニコフ)とAlexei Falin(アレクセイ・ファリン) によって創業された。
世界的にも注目されているNFTマーケットプレイスで、ローンチから2年にも満たない間にRaribleの総取引量は昨年6月からの1年間で3,000倍に成長、総売上高は1億5000万ドルに達する成長を遂げた。
その期待の高さは今年6月にはシリーズAとしてVenrock Capital、01 Advisors、CoinFundなどから約15.8億円の資金調達に成功した事からも伺うことができる。
Raribleの最大の特徴は、様々なNFT銘柄を売買できるNFTマーケットプレイスであることだ。取り扱っているNFT銘柄のカテゴリーはOpenSeaを超えており、現物とリンクしたNFT以外のNFT銘柄に関しては、すべて取り扱われていると言っても過言ではないだろう。
販売は、 NFTマーケットプレイスで一般的である販売形式とオークション形式、決済に使われる仮想通貨は主にイーサリアムを使用するが、NFTプラットフォームの利用者に独自のガバナンストークンであるRARIが配布されるという独特の仕組みがある。
次にRaribleのガバナンスと組んであるRARIについて解説しよう。
RaribleとRARI
RARIは、Raribleの自律的な運営を実現しDAOへと導くために作られたもので、AirDropやRaribleの利用などで手にすることが基本となっているトークンである。
当初は取引所で法定通貨から購入することはできなかったが、現在ではZT、Gato.io、Crypto.com、HitBTCなどの海外仮想通貨取引所で購入することができる。
2021年10月4日現在のトークンとしての基本的なスペックは以下の通りだ。
通貨名 | Rarible(ラリブル) |
---|---|
ティッカーシンボル | RARI(ラリ) |
価格(21年10月4日現在) | 2100.71円 |
時価総額(21年10月4日現在) | 約100.15億 |
時価総額ランキング(21年10月4日現在) | 414位 |
総合サプライ | 2500万枚 |
循環サプライ | 約477万枚 |
RARIの特徴としては、非代替性トークンで一つ一つのトークンが他と区別できる点が挙げられる。
この特徴がRaribleのガバナンスを実現する機能を支えている。RARIの所有者はコミュニティ投票に参加し、どのようなNFTをラインナップに加えるかという点などを決定する投票に参加する権利が得られる。
トークンの発行数の上限は2500万枚と定められており、60%が市場流動性マイニング、30%が投資家および開発チーム、10%がAirDropで供給されるという。
市場流動性マイニングは平たく言うとユーザーに対するトークンの分配機構であり、具体的方法としてはRaribleでNFTの取引をしたユーザーに報酬としてトークンが与えられる。
毎週75,000枚のRARIがRaribleを利用したユーザーに配布され、50%が買い手、残りの50%は売り手と均等に分配される。
Rallibeが運営するNFTマーケットプレイスの特徴
Raribleは総合的な大手NFTマーケットプレイスだけあり、同プラットフォームで取り扱われているNFTは日本のNFTマーケットでよく見かけるクリプトアートやブロックチェーンゲームのアイテムに留まらない。
Raribleが扱うNFT商品のジャンルは多岐にわたり、以下の10種類のNFTの銘柄カテゴリーに大別される。
- Art(クリプトアート)・・・イラストや映像などのデジタルアート作品
- Photography(写真)・・・写真素材のアート作品
- Games(ゲーム)・・・トレーディングカードゲームのアイテムやクリプトキティーズのキャラクターなど
- Metaverses(メタバース)・・・仮想空間上の土地や建物。「The Sandbox」のLANDなど
- Music(音楽)・・・オリジナルの楽曲や映像付の音楽など
- Domains(ドメイン)・・・ブロックチェーンドメイン「.eth」(*補足1)
- DeFi(分散型金融)・・・償還期間が10年超の利付き長期国債などの金融商品
- Memes(ミームズ)・・・インターネットミーム(インターネットの世界独特のコミュニケーション手段となる画像や文字)など。
- Punks(パンクス)
- NSFW(成人向けNFT)
*補足1:ブロックチェーンドメインを使用すると、ウオレットアドレスの非暗号表示への変換と検閲への耐性が高まるとされており、数年後には転売益を得る事もできると言われている。
これらの取り扱いジャンルに関しては、2~3ヶ月に1ジャンルの追加がなされている。
Raribleが提供するNFTマーケットプレイスの将来性
Raribleは6月の資金調達の発表と同時に「NBA Top Shot」を運営するDapper Labsと正式に提携、RaribleのNFTマーケットプレイスをDapper Labsのブロックチェーン「Flow(フロー)」に導入することを発表した。
この提携により、Raribleで取り扱われているNFT銘柄がDapper labsのブロックチェーンでも取り扱うことが可能となる。そのため、Raribleの販路拡大につながるであろう。
Raribleは12名で構成される運営チームにより開発が行われているが、そのほとんどがアーティストであり、実際にUI/UXに関してはOpenSeaよりも使い勝手が良いとの評価が多く、Dapper Labsとも連携で、ますます魅力的なプラットフォームとなると考えられる。
また、Raribleの取引高が上昇することで、ガバナンストークンであるRARIの価格上昇も期待できる。
Raribleプロジェクトの注目点「DAOの先端モデル」
Raribleの創業者らの大きな目的の一つは、将来的にこのNFTプラットホームを完全なDAO(分散型自律組織)へと成長させる事だ。
DAOとは、中央管理者のいない分散型の完全に自律的な組織体制で、ガバナンストークンを所有するコミュニティ参加者の投票により自律的な運営が行われていく形態である。
そのために独自のガバナンストークである「RARI」(ラリ)を発行している。
彼らは仮想通貨の知識が全くない人間でもNFTマーケットへアクセスできることを目的のひとつに掲げている。したがって、非常に単純なプロセスでNFTを発行できる体制を構築した上で、ユーザーコミュニティによる運営へと移行していくと思われる。
これはそれまでのNFTプラットホームではなかった試みで、DAOを実現するための最も重要なプロセスとなっている。
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Raribleの進化に要注目
すでに運営チームがDAO型の組織編成で動いているRaribleは、そのフレキシビリティを生かして、他のNFTマーケットプレイスよりも速いサイクルで進化していくことが期待される。
世界中に分散するユーザーを巻き込んだ形でコミュニティ運営がなされるDAOモデルをRaribleが前例となって構築して行く期待値は高く、今後も注目していきたいNFTマーケットプレイスである。
参考URL:
・Rarible
https://rarible.com/
・シリーズA記事
https://techcrunch.com/2021/06/23/nft-marketplace-startup-rarible-closes-14-2-million-series-a/
・アレクセイ・サルニコフ
https://twitter.com/insider0x
・アレクセイ・ファリン
https://twitter.com/alxfal