イギリスの出版社であるHarperCollins Publishers(ハーパーコリンズ・パブリッシャー)社が「Word of the Year(ワード・オブ・ザ・イヤー:今年の単語)」に「NFT」を選出したことが話題になった。
同社は「Collins Dictionary(コリンズ英語辞典)」を出版していることで名が知られている。Collins Dictionaryの編集者は、150億語におよぶ単語を監視しており、新しく注目を集めた単語の年次リストを作成している。
今回選出されたNFTは、2020年から引き続き新型コロナウイルスの流行に見舞われた2021年において、頻繁に見かけるようになった単語の一つだ。2020年は「Lockdown(ロックダウン)」がWord of the Yearに選出されたが、2021年はテック関連の単語が選ばれた。
NFTとは、「Non-fungible token(非代替性トークン)」の略語で、ブロックチェーン技術を用いてデジタルアセットの所有権を記録したデータを意味する。
画像からビデオ、音楽、ゲームアイテム、ツイートにいたるまで、NFTとして扱われる対象は幅広い。コピーや偽造の心配なしにデジタルアセットの価値が保証されるため、NFT技術の出現により、オンラインマーケットプレイス等での取引が行いやすくなった。
2021年3月には、デジタルクリエイターのBeeple(ビープル)氏が作成した「Everydays – The First 5000 Days(毎日 − 最初の5000日)」が、75億円で落札されたことが話題になった。
BeepleのNFTアートが75億円で落札!革新的な価値がついた理由
さらに、イギリスのアーティストであるDamien Hirst(ダミアン・ハースト)氏は、購入者に実在するアート作品か、オンラインで閲覧可能なデジタル作品を選ばせる「The Currency(通貨)」と呼ばれるプロジェクトを実施。他にも、スポーツや食品、エンターテインメント業界など、NFTを活用した様々な取り組みがあらゆる分野で行われるようになった。
2021年11月24日に公開されたHarperCollins Publishers社のブログ記事によると、2021年は「NFT」の使用量が11,273%も上昇したという。
NFT以外にも今年を象徴する単語が複数選出されており、他のテック関連の単語である「Crypto(クリプト:仮想通貨の略語)」の使用量は468%、「Metaverse(メタバース:仮想空間)」は2020年から12倍に増加している。
「Pingdemic(ピンデミック:自主隔離を警告すること)」や「Hybrid working(ハイブリッド・ワーキング:勤務場所を複数組み合わせること)、「Double-vaxxed(2回ワクチン摂取を完了させること)」など、新型コロナウイルス関連の単語も選出された。
また、気候変動に対する不安感である「Climate anxiety(気候不安症)」や、ジェンダーを配慮した新しい代名詞を意味する「Neopronoun(ネオプロノウン)」なども候補にあがった。
参考URL: