株式会社HARTi(ハーティ)が完全招待制、及び審査制のNFTプラットフォーム「HARTi(ベータ版)」を11月22日にリリースすることを発表した。
HARTiで扱う作品は、全て専任キュレーターが審査を行う。選ばれたアーティストはデジタルアイテムを出品できるだけでなく、パートナーシップを結んでいる国内の大手商業施設のリアル店舗を活用した活動を行える。
同社は、過去3年間において美術品購入経験のある日本人が9%に留まっており、鑑賞と購入の間に大きな壁があることを問題視していた。
日本のアート市場規模は2020年時点で2363億円であり、世界的に見ても市場規模は大きいといえない。ただ、国内には富裕層の数が多く、GDP対比から考えると日本のアート市場が成長していく可能性は十分にある。
HARTiはこの日本におけるアート市場のポテンシャルに目を向けた。ブロックチェーン技術を活用したサービスを提供することで、アート市場のさらなる拡大を目指している。
NFTプラットフォームの大きな特徴は、完全審査制、及び招待制であることだ。誰でも出品できるオープンな環境ではなく、アーティストのブランド価値やコレクターの資産価値を保護できるプラットフォームを目指している。
また、HARTiは商業施設と提携しており、オンラインだけでなくオフラインの活動を実現できる点も特徴だ。商業施設のスペースを利用し、展示販売会やオークションを実施することで、NFT作品の認知拡大にも取り組むという。
さらに、アーティストに対するサポートも行っており、BtoB事業との連携やキャリア支援も実施する予定だ。長期的な活動が困難になりやすいアーティストを支えることで、アート市場の成長を目指している。
HARTiの代表を務める吉田勇也氏は、2017年にイギリスの首都、ロンドンを訪れた。ロンドンではアートが市民の福利厚生と捉えられており、無料で入館できる美術館が多い。吉田氏は、アートが「都市の生活」を精神的に豊かにしていることに感銘を受けたという。
一方、日本では無料開放している美術館が圧倒的に少なく、アートが日常的な存在であるとは言い難い。アートは一部の人々が楽しむ「高尚な存在」として捉えられているためだ。
NFTの登場は、これからのアート市場や人々の生活に確変をもたらすのだろうか。一過性のビジネス価値ではなく、生活の豊かさを重視するHARTi。今後の取り組みにも期待したい。
参考URL: