ミュージシャン専用に設計されたグリーンなNFTプラットフォーム「OneOf」が、2021年6月にリリースされた。運営者は、アメリカのフロリダ州に拠点を置くOneOf, Inc.である。OneOfはジャズ界のレジェンド的存在であるQuincy Jones(クインシー・ジョーンズ)に支援され、開発された。
同社は、自身を「グリーンな」NFTプラットフォームであると謳っている。多くのプラットフォームはイーサリアムのブロックチェーン上に構築されることが多いが、OneOfはテゾス(Tezos)のブロックチェーンを用いている。この仕組みにより、電力消費量が他のネットワークの200万分の1に削減されたと報告している。
実際に、同プラットフォームでNFTを発行するのに必要なエネルギーは「ツイートする」場合と同程度とのことだ。仮想通貨の取引には膨大なエネルギーが消費されるため、最近では環境面の懸念も増えていた。少ないエネルギー消費で取引が行えるというのは、大きな魅力となろう。
OneOfはミュージシャン専用のプラットフォームである。クインシー・ジョーンズやジョン・レジェンド、ドージャ・キャット、ホイットニー・ヒューストンが初期のパートナーとして名を連ねている。プラットフォームを通じて蒐集可能な音楽やアート、そこから得られる「体験」を提供するというのがコンセプトとなっている。
同プラットフォームの主な収入源は、マーケット上で行われる取引にかかる手数料とのこと。アーティストからNFT発行の手数料を徴収する他のプラットフォームとは対象的である。OneOfは「アーティストファースト」のプラットフォームであると言えるだろう。加えてアーティスト側はNFTを発行する際に手数料を取られないため、購入者にの手に届きやすい価格をつけることができる。つまるところ、購入者にとっても優しいプラットフォームとも言えそうだ。
同社では今回のリリースに加え、「NBA Top Shot」のような流通市場も運営する方針だという。つまり、購入者が出品者としてNFTを販売できる場を設けるということだ。流通市場リリースの背景にはNFTの転売を行えるようにするという狙いがある。さらに支払い方法として、クレジットカードやデビットカード、135の法定通貨に加え、主要な仮想通貨やステーブルコインも追加する予定とのことだ。
OneOfは、収益の一部を「環境保護団体」またはミュージシャンが選択した慈善団体に寄付すると述べている。また、新しく出てくるアーティストを支えるためのプログラムも展開予定とのことだ。
環境に配慮したミュージシャン専用のNFTマーケットプレイスであるOneOf。すでに名声のある者だけでなく、まだ名が知れ渡っていないミュージシャンにもスポットライトをあてる取り組みは非常に画期的だ。同サービスの台頭により、音楽業界にもNFTの波が押し寄せる日も近いであろう。
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