NFT市場の過熱が止まらない。
デジタルアート作品が6930万ドル (約75億円)、Twitterのスクリーンショットが290万ドル(約3億2000万円)、ニューヨーク・タイムズ紙のコラムが50万ドル(5500万円)と、高額落札のニュースでNFT界隈は連日にぎわっている。
果たしてNFTにこれだけの価値があるのだろうか?
今回はNFTの「価値」について考察したい。
中島 翔
学生時代にFX、先物、オプションを経験し、FXをメインに4年間投資に没頭。あおぞら銀行でMBS投資業務に従事。三菱UFJモルガンスタンレー証券へ転職し、外国為替のスポット、フォワード、オプショントレーダー、Coincheckでの仮想通貨トレーディングとトレーダーを経験し、その後NYブロックチェーン関連のVCに所属しCWC株式会社を設立。
【保有資格】証券アナリスト
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過熱するNFT市場の現状
NET作品が次々と軽く億を超える金額で売れている。
21年3月には世界最古のオークションハウスのクリスティーズでビープル(Beeple)の「Everydays:The First 5000 Days」という5000点のデジタルコラージュアートが6930万ドル(約75億円)で落札された。
この額は、存命芸術家のオークション落札額ランキングで3位に入るほど高額だ。
ビープルは2月にもドナルド・トランプ氏が草むらに伏せているデジタルクリップをNFTマーケットプレイス「Nifty Gateway」で出品している。こちらは、約660万ドル(約7億2000万円)で落札されている。
他にも米ツイッターのジャック・ドーシーCEOの最初に投稿したツイートが約290万ドル(約3億1500万円)で落札、レブロン・ジェームズがスラムダンクを決めるビデオクリップが20万8000ドル(約2300万円)で売却されるなど高額落札が相次いでいる。
NFT市場の盛況ぶりは、アート作品に留まらない。
「Mars House(マーズハウス)」と名付けられたデジタル不動産は、約51万ドル(約5600万円)で、日本法人が販売したコレクタブルデジタルスニーカーは、発売開始9分で140万円で落札された。
NFTの販売プラットフォームとなるNFTマーケットプレイスの売上額は、21年2月から鰻登り。それを受け、国内外で新たなマーケットプレイスが続々と誕生している。
NFTの価値に対する一般的な解釈
なぜNFTはここまでの価値を持ち、高額で取引されているのだろうか?
NFT以外の殆どの高額アートは投資目的で購入される。しかし、価値の向上によるキャピタルゲイン狙いという側面だけではない。
アート作品を貸し出すことで賃借料を得たり、国にもよるが芸術作品の購入をすることで節税を図ることもできる。
また、資金の借入担保ともなり、場合によっては高ければ高いほど好都合な場合さえある。それゆえ、高額な価値を持つアート作品は、投資としての価値だけには留まらない。
NFTの価値を理解するために、NFTの価値の一般的な解釈について解説する。
NFTの価値の源泉は、「唯一無二のものである」ことと「所有者を特定できる」ことだ。
NFTとは、「Non-Fungible(非代替性)Token」の略である。無制限に複製が可能なほとんどのデジタル資産と違い、複製が不可能である点にNFTの価値がある。
例えば、あるデジタルアートのJPEGファイルがあったとする。
このファイルはどのようなデバイスでも容易に複製が可能だ。ファイル情報には、コピーした時点の制作日などが含まれるが、容易に書き換えが可能であり、複数のファイルがあってもどれがオリジナルか証明はできない。
また、制作者の情報はあっても所有者の情報はない。つまり、そのJPEGファイルは誰の物か証明のしようがないのである。
一方で、NFTは所有権を証明できる。なぜなら、データがブロックチェーンに記録されているからだ。
ブロックチェーン技術の最大の特徴は、同じデータを複数の端末で共有することだ。この仕組みにより、一つのデータが改竄されてもブロックチェーンのデータを確認すれば容易に真偽を確かめられる。
NFTはイーサリアムのブロックチェーン規格で作られている。NFTの場合は、一般的なERC-20ではなくERC-721かERC-1155のどちらかの規格で作成される。
この規格を使用する事で、トークンIDとURIと呼ばれるWEB上のファイルを認識するための識別子を紐づける事ができ、NFTとしての機能を果たすのである。
有識者はNFTをどう見ているのか
NFT推進派の多くはセレブリティと呼ばれる、アーティストなどの著作権ビジネスに関係する者が多いが、その理由は直接的な作品販売による収益率の向上と贋作の排除にある。
では、中立な有識者のNFTに対する見方はどうであろうか?
イーサリアム共同創業者のヴィタリック・ブリテン氏は、NFTについて次のように述べている。
「あるNFTが面白く、別のNFTがダサいと多くの人が認めれば、面白いNFTを買う人が多くなるだろう。 これはそのNFTを持っていることを自慢したり、誇りに思ったりすることが高い価値を持ち、そしてみんなが同じように考えているので、高く転売できるからだ」
ブリテン氏の見解は、NFTの価値が健全に評価され、社会的に正当な価値を持つ方向で発展すれば、NFTの価値も社会的な意義を持つというものである。
一方で、法律関係者の中にはNFTに対し懸念を抱く者も少なくない。
アンダーソン・毛利・友常 法律事務所の弁護士団は、NFTに関する法律的な論点に関して以下のようにまとめている。
NFTに関して誤解を抱かないためのポイント
- 日本法上、データのような無体物に所有権は認められないと考えられており、「デジタル所有権」という権利も法定されていない。
- NFTはあくまでブロックチェーン上で発行されたトークンにすぎず、NFTを移転したからといってブロックチェーン外で行われる権利の移転、すなわち当事者間の合意(契約)の成立を意味するものでもない。
- そもそも「NFTの売買」といっても、いったい何を(何に関する権利を)取引しているのかさえ明確ではないケースも少なくない。
このように、法律的には整備されていないのが現状だ。
つい先月の21年4月に、世界的アーティストの村上隆氏がNFT作品のオークション中止を発表した。その際には以下のように述べている。
前略)NFTの長所を生かし、コレクター/オーナーの皆様の利便性、作品所有の満足度や安心感を最大化するためには「作品のコンセプトを踏まえ、ERC721や1155のメリットとデメリットを考慮した選択」「独自のスマートコントラクトの要否」「独自ストアフロント構築の要否」「IPFSの要否」その他、さまざまなテーマに対して慎重な検討と議論を重ねて、より最適な形式でNFTをご提供して行くのが良いだろうと考えました。(後略)
(村上氏インスタグラムより)
NFT慎重派の論旨としては、NFT市場の過熱ぶりは何の法的な価値の裏付けのないものであると解釈できる。確かに彼らの意見にも一理あるだろう。
NFTの価値に対する展望
法的な課題はあるにせよ、NFTの価値に対する筆者の現時点での展望は概ね肯定的である。
法律というものは、NFTに限らず、必ず現象よりも遅れて数年後に整備される。
重要な点は、イーサリアム創業者のブリテン氏が言うように、NFTが社会的に正当な価値を持つかという点である。
75億円でビープルの作品を落札したのは、シンガポール在住のインド人スンダレサン氏のNFT専門の投資ファンド「メタパース」である。
彼は無一文から仮想通貨の発行で富を築き上げた。仮想通貨の投資価値をよく知るスンダレサン氏だからこそ、ここまでの高額落札に踏み切れたのかもしれない。しかし、私は投資的観点で考えると、彼の行動は決して間違いではないと考えている。
その理由としては、3点ある。
- 彼が落札する1ヶ月前に、同アーティストの1つの作品が7億2000万円で落札されている。今回はアーティストの5000点の作品集であり、1点当たりの平均単価にすると、150万円に過ぎず、必ずしも高すぎるとはいえない。
- オークション自体が100ドルからスタートして、6930万ドルまで釣り上がるには競争相手が必要である。この点を考慮すると、NFTの価値を認める者が複数いたと予測される。
- さらに75億円という価格で落札したことによる話題性により発生する広告価値。
もちろんこれは、エポックメイキングな事例ではあるが、筆者が期待している点は、コンシューマーレベルでのNFTの社会認知と価値の正当化だ。
今後、国内外でNFTマーケットプレイスの増加とそれにともなう市場の成長が予測できる。NFTが社会的な価値を獲得するためには、コンシューマーレベルでの支持が欠かせない。
現在は極端に高額な取引が注目されているが、今後は数千円から数万円程度のNFTが浸透していくことになるだろう。また、誰でも簡単にNFTの制作と出品ができるため、多くのNFTアーティストが出現すると思われる。
その途上で多くの有名クリエーターの誕生と周辺産業が拡大があるだろう。
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まとめ
今まさに黎明期といえるNFTマーケットであるが、これから数年は確実に成長するだろう。
その成長過程において、NFTの価値が社会的な価値を持てるかは、NFTマーケットプレイスのサービスクオリティや、メディアに依存する部分も大きい。世界的も稀に見る独自の文化と優秀なクリエーターを持つ日本がNFT分野で世界を牽引することに期待したい。
個人的にはニッチなマーケットでとても濃いファンがいるような分野でNFTは急拡大すると予想している。
参考リンク