アメリカのCNBCが始めて出品したNFTが、61,210ドルで売却されたことが分かった。
売却されたのは、CNBCのキャスターであったMark Haines(マーク・ハインズ)の映像をNFT化したものだ。2009年3月10日、株式市場が下落した際にマーク氏が「I think we‘re at a bottom(我々は今、底辺にいる)」と発言したニュース番組の一節がNFTの内容となっている。
マーク氏は1989年にCNBCで働き始めたという。なお、2011年5月24日に彼は享年65歳で他界している。
We’re remembering CNBC icon Mark Haines by auctioning an NFT of his historic 2009 market call.
— CNBC (@CNBC) May 24, 2021
The auction ends Wednesday 5/26 at 10:30 a.m. ET, with all proceeds benefitting charity. We’re partnering with Aerial to make this a carbon neutral event. https://t.co/aSmimhZh4t pic.twitter.com/PLKxCKWgFv
CNBCは故マーク氏の名誉を讃えて、Squawk On The Street(CNBCが制作・放送しているビジネス系ニュース番組)での、マーケットコールをNFTとしてオークション販売した。
オークション販売はプラットフォームの「Mintable」で行われた。彼の死後10年を記念したこのタイミング(2021年5月24日)にオークションを開始し、2日後の5月26日に終了したとのことだ。
彼が2009年にニュース番組で「I think we‘re at a bottom」と発言した際には、S&P500(アメリカの代表的な株価指数)が最低値の666を記録していた。それから約1年後、指数は73%上昇。2021年5月26日時点では4,200を記録している。
彼がマーケットコールした時期は、他に類を見ない程の下落率だったことが分かる。
CNBCは歴史あるアメリカの報道機関だ。そんなCNBCが故人の名誉としてNFTを販売するということは、NFTがそれだけ「価値のあるもの」という認識が広がっている証拠ではないだろうか。
故人を偲ぶ手段として、「慰霊碑を建てる」「記念セレモニーなどを開く」といったことを行うのが一般的である。しかし、今回の件をきっかけに「NFTを発行する」という新たな追悼の形が広がっていくことも十分考えられる。
今回の一件でNFTは、デジタルアートやゲームといったクリエイティブな分野だけでなく、「亡くなった人の名誉のため」にも使用できることが分かった。これほどまでに汎用性が高く、様々な分野で活用できるNFTは、デジタルライフが加速する今の状況を考慮すると、数年単位で急速に普及してもおかしくはない。
オークションで得た収益は全て寄付されるという。マーク氏の家族のお気に入りである慈善団体の「Autism Speaks」と、金融リテラシーを支援する経済教育評議会で分配されるとのことだ。
参考URL:
https://www.cnbc.com/video/2021/05/24/mark-haines-cnbc-nft-auction.html