2021年初頭からNFTの盛況ぶりを伝えられる時に必ずと言っていいほど引き合いに出る例がクリプトアート作品集「Everydays:The first 5000 days」が約76億円で落札された事例だ。
その作者であるBEEPLEは、名門オークションハウスのクリスティーズからクリプトアートの第一任者として認められるほど将来性の高いアーティストである。
しかし、BEEPLEのNFT銘柄は手の届かないところにあるものではない。
イーサリアムさえ持っていれば世界最大のNFTマーケットプレイスである「OpenSea」で購入することができる。
中島 翔
学生時代にFX、先物、オプションを経験し、FXをメインに4年間投資に没頭。あおぞら銀行でMBS投資業務に従事。三菱UFJモルガンスタンレー証券へ転職し、外国為替のスポット、フォワード、オプショントレーダー、Coincheckでの仮想通貨トレーディングとトレーダーを経験し、その後NYブロックチェーン関連のVCに所属しCWC株式会社を設立。
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世界最大手NFTマーケットプレイス「OpenSea」の成り立ち
現在、BEEPLEのNFT銘柄は、世界有数の大手NFTマーケットプレイス「OpeanSea」で購入することができる。
「OpeanSea」はGoogleやPinterest(ピンタレスト)などで経験を積んだデヴィン・フィンザーとアップルや仮想通貨の分野で経験を積んだアレックス・アタラーによって2017年にアメリカ・ニューヨークで設立された。
「OpeanSea」の開発・運営チームはGoogle、Pinterest、Apple、LinkedIn、Amazonなどのトップ企業出身者から集められた少数精鋭のチームで、設立時に2720万ドル(約30億円)の資金調達に成功している。
2021年7月現在、「OpeanSea」のユーザー数は10万人を超え、取引額は3億5400万ドル(約385億円)に上る。
「OpeanSea」で取り扱われているNFT商品のジャンルは多岐にわたり、以下の7種類のNFTのカテゴリーに分けられている。
- クリプトアート
- ドメイン名
- バーチャルワールド(NFT不動産)
- トレーディングカード
- デジタルコレクション
- スポーツ
- ユーティリティ
現段階においてほとんどのNFTマーケットプレイスは、クリプトアートかゲームアイテムの取り扱いのみであるが、「OpeanSea」 がベンチマークされて今後このようなカテゴリーが各NFTマーケットプレイスで増えていくということは頭に入れておきたい。
BEEPLE作品に注目すべき理由
制作者のBEEPLEは、本名をMike Winkelmann(マイク・ウインケルマン)という。
1981年にアメリカウィスコンシン州で生まれたウィンケルマン氏は2007年5月1日から毎日かかさず1作品のデジタルアートを制作している。
これが14年後に約76億円で落札されることとなる「Everydays」である。
当然これ以前よりデジタルアーティストとしての彼の評価は高く、実際にルイヴィトンのコレクションに組み込まれるど世界的な名声があった。
しかし、彼の名が世に広く知られることとなったのは「Everydays」の5000日目までのデジタルアート作品集「Everydays:The first 5000 days」が、2021年2月にクリスティーズからオークション出品され約76億円で落札されてからだ。
約76億円という数字からとてつもなく高額な落札であったかのような印象を受けるが、5,000枚に及ぶNFT銘柄であり、1枚あたりの平均単価は約152万であることを考えると適正な価格と言えるのではないかと考える。
BEEPLEの評価の高さは名門オークションハウスのクリスティーズから「NFTの最前線にいる先見の明のあるデジタルアーティスト」と呼ばれるほどだ。
つまり、現在最も高い評価を得ているクリプトアーティストと言えるだろう。
既にアート界において一度評価が確立されたアーティストの作品の価値が急激に落ちるということは考えづらい。
また、ルイヴィトンやクリスティーズの顧客層は、社会的にも富裕層と呼ばれる層である。
とりわけクリスティーズは、名門中の名門中で、ピカソ、レオナルド・ダヴィンチ、 ゴッホ、ナポレオンなど歴史上の人物のアート作品や遺品を取り扱っている。
その顧客は世界的な大富豪も多く、クリスティーズでオークションにかけられたというだけでもそのアートの価値が裏付けされる。
実際に、アート作品というものは、アーティストからギャラリー(画廊)が作品を購入し、ギャラリーが抱える顧客に対して作品を販売するという構造になっている。
つまり、アート作品の取引はギャラリーと顧客の信頼関係が土台となっている部分が大きく、投資価値の裏付けはオークションハウスやギャラリーによって行われると考えてよいだろう。
アート作品の高値掴みは要注意
このNFT銘柄の懸念点としては、クリプトアーティストとしての評判が先行して実態以上の高値で購入してしまう点が挙げられる。
絵画をよく知らない投資家は作品の価値よりも作者が有名であるかどうかという点で作品を見てしまいがちだ。それゆえ、的確な価値評価ができず、相場よりも明らかに高い価格で落札してしまうことが往々にしてある。
また、NFT銘柄は必ずしもアートの価値を判断できるオークションハウスやギャラリーによって値付けされているわけではない点も頭に入れておくべきだ。NFT銘柄の所有者が主観的に値付けをしている場合も多く、表示されている価格が必ずしも販売実績としての価格とは限らない。
つまりは、 投資としてNFT銘柄を購入する際に高値掴みをしないようにする必要がある。
BEEPLE作品の選定は付加価値の見定めが要となる
次にBEEPLE作品の購入方法を解説しよう。まずはNFTマーケットプレイスである「OpeanSea」にアクセスする必要がある。
「OpenSea」のトップページにアクセスし、虫眼鏡のマークがついた上部の検索窓に「BEEPLE」と入力するだけで、BEEPLEとタグ付けされたNFT銘柄が一覧表示される。
執筆時点では8,982件と表示されるが、販売済みのものやBEEPLEとは関係なしにタグ付けだけされているものも検索されるため、注意が必要である。
銘柄の選定方法であるが、美術品の値段というものは、必ずしも論理的に決められているわけではないというのが実情である。
ただし、絵画などの世界ではある程度の価格構造は出来ており、基本的にプライマリー価格に付加価値を加えた価格が作品の価格とされている。
プライマリー価格は、
- 原材料費
- 制作にかける人件費
- サイズ
の3つで構成される。クリプトアートであるNFT銘柄の場合は「1. 原材料費」と「3. サイズ」はどの作品も大差はなく、価格のほとんどは付加価値で構成されていると考えられる。
問題は作品の付加価値であるが、この判断が難しい部分である。付加価値の判定基準としては以下のような方法が挙げられる。
- OpenSeaのサイトで、販売実績を確認する
- クリスティーズやサザビーズでNFT銘柄の販売実績を調べる
2に関しては、NFT銘柄の取り扱いが開始されたばかりでまだ実績は少ないが、上記のような調査をすることで、正しい相場感が醸成されるであろう。
証券アナリスト視点で考える狙い目のBEEPLE銘柄
筆者がOpenSeaにてBEEPLEのNFT銘柄を購入するのであれば、上記の作品(Beeple Everydays – Raw #64/100)を選択する。
また、このNFT銘柄に対して5000daysの平均単価である6.25WETH(執筆現在で約150万)までの上限で入札を行うであろう。
この作品を選定した理由は以下の3点である。
- いくつかのコレクションに分かれるBEEPLEのNFT銘柄の内、この作品は約76億円で落札されたEverydaysに含まれる1銘柄である。
- 現在のオークションプライスが2.5WETH(約60万)である。
- ドナルド・トランプやプーチン、バイデンなどの政治的なモチーフも多く2020年という年を象徴している作品である。
唯一の懸念点としては、オークションの終了まで244日間あり、その間に入札上限額と制定した6.25WETHは超えそうである点だ。
いずれにしても、このNFT銘柄が最終的にいくらで落札されるかという点は、今後のBEEPLEのNFT銘柄の落札価格への影響が大きいと考えられるため、注目していきたい。
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難易度は高めだが大きなチャンスが眠っている
クリプトアートのNFT銘柄の投資的価値は、数世紀にわたり芸術作品に関する投資に携わってきたクリスティーズやサザビーズが積極的に取り扱いを始めたことで、その将来性が確実になったと見ても良いだろう。
しかし、まだまだ始まったばかりで相場感が醸成されておらず、投資としての難しさがある。一方で、黎明期だからこそ最も安く作品が購入でき、後に大きく成功するチャンスであると考えることもできる。
いずれにせよ、かなりギャンブル性の高い投資対象であるので、許容できるリスクの範囲内で取引することをおすすめする。
【関連記事】
OpenSeaでのNFT購入方法|決済方法や準備すべきものもまとめてご紹介
参考URL:
https://en.wikipedia.org/wiki/Mike_Winkelmann
https://opensea.io/assets/0xc170384371494b2a8f6ba20f4d085c4dde763d96/100010064