5月14日、ロンドン出身のファッションモデルであり、インフルエンサーのEmily Ratajkowski(以下、エミリー・ラタコウスキー)が出品したNFT作品が、世界的に有名なオークションハウスであるChristie’s(クリスティーズ)で、約17万5千ドル(約1900万円)で落札された。
当オークションで販売されたのが「Buying Myself Back: A Model for Redistribution」(自分を買い戻す:再配布のモデル)という画像作品。Richard Prince(以下、リチャード・プリンス)によって手掛けられた作品の前で、エミリー・ラタコウスキーが同じポーズを再現している。
今回、エミリー・ラタコウスキーがNFTを活用しようと思ったきっかけは、2014年に起きたある出来事だった。彼女がGagosian’s Madison Avenue(ガゴシアンズ・マディソン・アベニュー)を訪れた際、自身のインスタグラムに投稿した写真が飾られていたことに気付いたのだ。彼女の写真はリチャード・プリンスによって、「ニューポートレート」シリーズの作品として無断利用されていたのである。
エミリー・ラタコウスキーは自身のインスタグラムを通して、「他者が利益や業績のために、女性の身体的イメージを本人の同意なしで悪用し、阻害するような場所にインターネットはなってしまった。女性自身が自分の思うように画像を選び、使い道を管理し、利益を得るべきなのに。」と述べている。
NFTは女性が自分のイメージを保護するために活用できる。___
NFTは「非代替性トークン」を意味し、データの所有権を証明できる技術だ。ブロックチェーンを利用することで、複数のコンピューターで取引記録の管理が行われ、データの改ざんやコピーを行えない仕組みとなっている。
エミリー・ラタコウスキーは自身の写真をNFT化して販売することで、著作権の存在意義を主張した。リチャード・プリンスに対する抗議の意としても受け取れるのではないだろうか。
NFTは女性の身体イメージを保護し、自分で管理する権利を実現させる可能性が高い。そのため、NFTは人権意識が高まっている現代にこそ、求められている技術といえるだろう。
参考URL:
https://www.architecturaldigest.com/story/emily-ratajkowski-sold-an-nft-of-herself-for-dollar175000