近頃、身近な生活家電でIoT技術を利用したものが増えている。IoTとはさまざまなモノがインターネットに接続され、互いに情報をやりとりするネットワークを指す言葉だ。
そんなIoTに特化した仮想通貨であるIOTAが気になっている人も多いのではないだろうか。
この記事では、IOTAの概要、その魅力、活用例、今後の展望について詳細に解説した。IOTAは日本では未上場だが、IoTの普及に合わせて成長が見込まれる仮想通貨である。ぜひ最後まで読んで、本記事をIOTAへの理解の一助にしていただきたい。
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IOTA(アイオタ) / MIOTAとは
「IOTA」とは、2016年7月に正式リリースされたブロックチェーンプロジェクトだ。
IOTAはIoTのために開発された暗号資産でもある。IoTとは「Internet of Things」の略で、「モノのインターネット」と訳され、家電を始めとしさまざまな電化製品がインターネット経由で通信することを指している。
IOTAは当初4人の博士によって創設された財団で、財団となる前はハードウェアのスタートアップだった。しかし4人はIoT実現のために決済レイヤーが必要であると考え、ピボット(方針転換)。2015年にIOTAの開発をスタートさせた。
まずはIOTAの運営財団、そして仕組みについて紹介しよう。
通貨名 | IOTA(MIOTA) |
運営 | IOTA Foundation |
創立者 | イビッド・サンステボ(David Sønstebø) セルゲイ・イバンチェグロ(Sergey Ivancheglo) ドミニク・シーナー(Dominik Schiener) セルゲイ・ポポフ(Serguei Popov) |
公式サイト | https://www.iota.org/ |
ドイツの非営利の財団が運営
IOTAは2016年の7月にリリースされたプロジェクトである。ドイツを拠点とする「IOTA Fundation」が運営している。
IOTA Fundationのミッションは「人とデバイスがつながる方法」を設計することだという。世界をつなげる新しいデジタル経済を創出するため、次世代の分散型テクノロジーの開発に力を入れている。
具体的には、IOTAのプロジェクトを標準化し広く普及させ、量産可能なオープンソースソフトウェアを開発することを目指している。また、IOTAについての教育も充実させ、活用事例を増やすことも重要な使命としている。
Tangleを使用したシステム
IOTAの最大の特徴は、ブロックチェーンではなく「Tangle」という有向非巡回グラフ(DAG)技術を使用して設計されている点だ。
有向非巡回グラフ(DAG)とは、取引の記録をブロック化せずに、1つの取引データを複数の取引データへつなげる仕組みである。分散データベースとして機能し、1つ1つのトランザクションを承認した後はメッシュ状に分散させて記録する。
メッシュ状であるため、取引が多ければ多いほど処理スピードが高速化され、多くのトランザクションを処理できるのもTangleの利点と言えるだろう。
IOTA(アイオタ)の魅力とは
IOTAは、他のプロジェクトと異なり、ブロックチェーン技術を採用していない点が魅力の源になっている。
また、もともとIoTのために開発されている点にこそ、IOTAが飛躍できる素地があると言える。なぜならIoTは今後ますます我々の生活に不可欠となることが考えられるからだ。
それを踏まえた上で、ここでは主に以下2点のIOTAの魅力について解説する。
- 取引手数料がかからない
- 政府、企業などさまざまな組織と提携している
取引手数料がかからない
暗号通貨の取引と言えば、何をするにしても手数料がかかるという印象が強いだろう。
しかし、IOTAはTangleを採用しているため、1つのプロセスが他の複数のプロセスを承認する仕組みとなっている。それは取引の承認のために第三者の承認作業、いわゆるマイニングが必要ないことを意味する。つまりマイナーが必要でないため、マイナーへの報酬が不要となるのだ。
結果として、IOTAは取引手数料がかからないだけではなく、高速処理も実現する。承認時間が短くて済むためだ。これらの特徴よりIOTAはスケーラビリティにも優れた仕組みだとされている。
この低コストかつ高速通信ができるIOTAの特質はIoTデバイスの決済に非常に適している。
IoTデバイス間ではマイクロトランザクションと呼ばれる小さなデータの取引が多いが、Tangleの技術のおかげで手数料が無料となり、コストの問題を解決するからだ。
政府、企業などさまざまな組織と提携している
IOTAの二つ目の魅力は、IoTを前提とした技術であるゆえに、さまざまな組織と提携し、オープンな開発を進めている点だ。
IOTAは2016年にリリースされてから、実に業界を問わず、さまざまな企業、政府、学界など100以上の組織と協力し、今日に至る。
以下は数々の提携例の一部を表にした。下記に取り上げた例以外にも、IOTAは多数の他の企業や組織とコラボレート例がある。
提携例 | 提携先 |
---|---|
Project Alvarium(データの信頼性を評価・保証する取り組み) | デル・テクノロジーとインテル |
グローバルワクチン検証システムの開発 | ゼブラ・テクノロジーズ |
公共インフラにおける交通データの安全かつリアルタイムな利用 | ETO Gruppe |
マイクロトランザクションデータのマネタイズ | ジャガー・ランドローバー |
相互運用性を高めるための スマートな自動車充電システム | Mobility Open Blockchain Initiative |
スマートパーキング(駐車場) | EDAG |
IOTA(アイオタ)の活用例
前章まではIOTAの魅力について述べてきたが、本章では具体的なIOTAの活用例を紹介する。
アステリア社:IOTA技術を利用し3密回避Webアプリを開発
アステリア社は東京に本社をかまえるソフトウェア開発企業である。
2021年、IOTAの技術と共にAI搭載IoT統合エッジウェア「Gravio(グラヴィオ)」を組み合わせて「3密回避Webアプリ」を開発し、中部電力による「テクノフェア2021」で発表された。
このアプリは、カメラの映像からAIで来場者数やマスク着用有無を解析する。さらに、CO2、湿度や室温を計測可能なグラヴィオのセンサーも活用して、計測データを組み合わせる仕組みとなっている。
IOTAの利用箇所は、計測データの記録においてだ。Tangleを活用することで、手数料のコストを削減している他、改ざん不可能で信頼性の高いデータを抽出に成功していると言える。
英ジャガー・ランドローバー社:「スマートウォレット」を自動車へ搭載しIOTAを得る仕組み
ジャガー・ランドローバー社は世界的に有名なイギリス自動車メーカーである。
そのジャガー・ランドローバー車に「スマートウォレット」を搭載することで、自動車がマイクロトランザクションデータを収集し活用する。結果としてささやかな報酬があるという点が画期的だ。
具体的に、マイクロトランザクションとは、以下のようなデータである。
- 渋滞状況
- 天候
- 道路状態
- 交通に関する情報
こういったデータは従来の方法ではコストの方が高くつくため、マネタイズが不可能だった。しかしIOTAは手数料が無料かつリアルタイムのトランザクション処理が可能なTangle技術を生かし、1セントにも満たない少量のデータを販売可能にした。
この技術により、ドライバーが道路情報などを情報提供することで対価を得られる仕組みの構築が可能になった。また、情報提供で得た報酬は高速道路、駐車料金、電気自動車の充電支払いに利用できるという。
ここでのIOTAの活用は、派手さはないものの収集データを無駄にせず対価を払うという点で、今後の需要が見込まれる。
IOTA(アイオタ)/MIOTAの価格推移
IOTAの通貨であるIOTA/MIOTAの価格推移は、以下の通りである。下記チャートはIOTAがリリースされてから2022年5月14日までの価格推移を表している。
2018年末から2021年にかけては低調で推移しているものの、2021年以降はNFTブームによって市場全体の価格が上昇したため、その影響を受けた。
IOTAの価格に影響を与えた3つの出来事について見てみよう。
2017年のIoTブームで価格が高騰
IOTAは、2017年6月の初値は44円であったが、2017年12月にはおよそ438円まで上がっている。つまり約9倍まで高騰したことになる。2017年と言えばIoTブームの真っ只中でその影響が大きかったと言えるだろう。
しかし、IOTAは次に述べるハッキング事件で価格の大きな下落を余儀なくされる。
ハッキング事件で保有資産を奪われる
2018年1月、ハッキングによってIOTAの保有財産が奪われる事件があった。事件の内容はおよそ2億5500万円相当のIOTAトークンが85人以上の投資家から盗難されたというものである。
IOTAネットワークの創設者であるデビッド・ソンステボ氏は自身の保有しているトークンを補償に充てたものの、投資家はIOTAのセキュリティ面を不安視した。結果的に一時期440円以上だったIOTAトークンは120円代まで下落してしまった。
その後2年にわたり価格は低調推移する。
EUブロックチェーンネットワーク構築に選ばれた
2021年からは再びIOTAの価格は高騰を見せている。注目すべきは9月の価格上昇である。
きっかけはIOTAが「EUブロックチェーンパートナーシップ(EBP)」とECが共同で立ち上げた欧州ブロックチェーン・サービス基盤(The European Blockchain Services Infrastructure=EBSI)を担当するプロジェクトとして提携を結んだことによる。
IOTAは30以上の応募の中からEUブロックチェーン事前商業調達プロセスの第一フェースに参加する7つのプロジェクトの一つとして選ばれたのである。
EUブロックチェーンパートナーシップとは、ブロックチェーンに関するEU戦略を策定し、公共サービスのためのブロックチェーン基盤を構築するための取り組みを行う団体だ。
その後は全世界的な株価下落に影響されて価格が下がっている状況だ。
しかしその全体的低落状況さえなければ、IOTAはEBPに選ばれたことによって堅調に株価が上がっていたかもしれない。
IOTA(アイオタ)は今後どうなるのか
IOTAは今後IoTの普及と共に我々の生活と密接に関わる可能性が高いプロジェクトだ。主に以下の要因から、今後も充分に伸びしろが見込まれる。
IoTの普及と共に伸びる可能性が高い
今後、IOTAはIoTの普及と比例して伸びる余地がある。
総務省によると、今後の世界のIoTデバイス数の推移及び予測が下記のグラフで示されている。
上記の表によると、IoTデバイスは、将来的に自動車・宇宙航空、医療、産業用途、コンピューター、コンシューマー、通信分野での実用がより発展する予想だ。
これらのデバイスのデータを記録かつ応用していくことを想定すると、IOTAの技術が必要とされる場面が今後増えていくことが考えられる。このようにIoT発展の波にうまく乗ることができれば、IOTAの価格も上昇する可能性が高い。
企業との提携・国内取引所に上場することが望まれる
前述した通り、IOTAはIoTの主役となる企業と提携することで、その真価を発揮する側面がある。今後もさまざまな企業や団体とコラボレーションを行い、注目が高まる可能性は高いだろう。
本記事で紹介したデル社やジャガー・ランドローバー社以外にもIOTAがこれまでに提携した企業はフォルクスワーゲン、マイクロソフト、富士通など錚々(そうそう)たる顔ぶれだ。
今後も有名企業との提携があれば、IOTAの知名度は一気に上がり、プロジェクトはさらに盛り上がっていくだろう。加えて、注目度上昇をきっかけに国内取引所に上場すれば、IOTA/MIOTAトークンの価格はさらに高騰することが期待される。
IOTA/MIOTA(アイオタ)の購入方法
IOTAは国内取引所での取扱いがないため注意が必要だ。
一旦、国内取引所でIOTA購入用仮想通貨を購入し、海外取引所へ送金する必要がある。
IOTAが購入できる主な海外取引所は、以下の通りだ。
- Bybit
- Liquid
- CUMBERLAND
- BITFINEX
- BITTREX
- Huobi
- Global
- OKEX
大まかなIOTAの購入の流れは以下の通りである、
- 国内の取引所で口座開設
- 国内の取引所で仮想通貨を購入
- IOTAの取扱いがある海外の取引所で口座開設
- 国内の取引所で購入した仮想通貨を、海外の取引所の口座に送金
- 海外の取引所でIOTAを購入
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IOTAを取引してみよう
本記事では、IOTA/MIOTAの概要、魅力、活用例や価格推移、今後の動向について詳しく解説した。
現在は株式市場や仮想通貨市場の下落に影響されてIOTAの価格は低迷中ではあるものの、IoT技術が普及しつつある中で、IOTAがキラリと光るプロジェクトであることは間違いない。
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